カルロ・マリア・ジュリーニ逝去……そのブルックナー9番

ブルックナー:交響曲第9番

ブルックナー:交響曲第9番

もう91歳だったのかあ……。
ブルックナーに狂っていた頃、「ついに」9番に手をつけたはいいが、シューリヒト=ウィーンフィルで、まったくこの曲のよさがわからず、「あの」ジュリーニ=ウィーンフィルで、演奏者に名曲を教えてもらうという体験を初めてしたように思う。
まさしく神の仕事といえるこの曲を、とことんまで主観的なアプローチでありながら、あれほどに、何というか、ひたすらに透き通るような美しさを保たせるという指揮者がいるということが、ただ、信じられなかった。
むろん、同じくブルックナーの7番、ロサンジェルス・フィルとの「グレート」、「ライン」などなど、他の数々の録音も忘れがたい。
このときばかりは、オペラを聴かないという自分の体質がちょっと悔やまれる。彼の魅力の半分も知っていないと言われても仕方がないのかも知れない。
冥福を祈ります。