C・クライバーの田園

随所でボロクソにいわれていますが、結局のところ僕のベスト田園になってしまっているというこの現実。
一般的に速めのテンポが好きな方ではないのだが、フィナーレのこの充実感、躍動感! 響きの透明感! いや、何というのだろう。響きが……輝いている、とでもいおうか。
田園ではないといわれればその通りかも知れない。ワルターのディスクへの賛同と、このクライバーのディスクへの罵声が耳目に触れるたび、ワルターよりもこのディスクに惚れ込んでしまった(陳腐な言葉になるのを覚悟の上で言うなら)自分の情緒には何かまずいものがあるのかという感を強くせずにはいられないこともあった。
しかしそもそもが、僕はこの曲があまり好きではなかったのだ。いや、いくつ聞き比べても、どうにも理解しきれないところがあったがゆえ、浸りきることができないでいた。
そして、今でも僕は、この曲がわかった! と声高に叫ぶつもりはない。
これはこれで、とても新鮮な感覚だ。