北村薫「ターン」読了

いろいろ反則ですが(どう反則か、がすでにネタバレなので言えませんが)、莫迦おもろかったです。 小説の悦楽と物語の悦楽の両方を満喫できるという本は、ありそうで本当に少ない。この一冊との出会いを心から感謝したい。ターン (新潮文庫)作者: 北村薫出…

古川日出男「ボディ・アンド・ソウル」読了

むろん反則でありましょうが、とてもとても楽しめました。 しかし、この手はいくらなんでもこれ一度きりにしてほしいものですが。 いや、僕は高橋源一郎は大好きですけど。 高橋源一郎にあってこの人にはないもの。うーん何だろう。やっぱり、ひとつひとつの…

重松清「流星ワゴン」読了

むろんエンターテイメントではありましょうが、普通に楽しめました。 このネタをやってくれるのであれば、女性をもう少しちゃんと描いてほしかったとは思いますが。 ついでにタイトルが、連載当時の「マジカル・ミステリー・ワゴン」だったら、絶対に手にと…

ちびしい衝動買い

通勤帰途で、NHKFMの「青春アドベンチャー」を聴く機会が多い。 昨夜の「滝(吉田秀和)」を聴いていると、むしょうに原作にあたりたくなり、本屋に直行。11時を回っていても本屋に駆け込めるとは、ありがたい時代です。 が、文庫コーナーを回れど、ヨシダヒ…

有名どころですが「おおきな木」(原題「The Giving Tree」)

おおきな木作者: シェル・シルヴァスタイン,Shel Silverstein,ほんだきんいちろう出版社/メーカー: 篠崎書林発売日: 1976/01メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 95回この商品を含むブログ (113件) を見るもうそろそろこの手の絵本も、ということで、六歳女…

スゴ絵本見つけました

ぼくまいごになったんだ (くまたくんのえほん 4)作者: 渡辺茂男,大友康夫出版社/メーカー: あかね書房発売日: 1980/03/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る絵本は、図書館からも結構借りる。 その後、餓鬼の食いつきがいいものは購入する、…

「落日燃ゆ」*1読了

失敬なエントリーを書いてみたりもしましたが、やはり後半は盛り上がりましたね。後ろ三分の一が東京裁判から広田の処刑までに割かれるというバランスながら、ラストに向けてはその長さを感じさせられることはまったくなかった。 軍部独走による開戦。しかし…

で、「落日燃ゆ」読破中。ああ進まん

落日燃ゆ (新潮文庫)作者: 城山三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1986/11/27メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 94回この商品を含むブログ (61件) を見る正直、小説としては今ひとつという感触。 いやいや、この虚飾を廃した、海老沢泰久テイストこそが真…

私も遅まきながら電車男

というか唯人さん、私の近所の本屋三軒いずれでも、この本、まだ見たことありません(三軒ともそれなりの規模)。話題の割に流通が追いついてないみたいですね。 とりあえず本(ISBN:4104715018)は買わず、ぐぐってトップだったサイトをタダ読み。つまりこ…

村上龍「トパーズ」

ISBN:4041586038 まだ読破してませんが。先日、「結局誰を一番読んでいるのか?」という、あらためてされるとなかなかに頭を抱えてしまうような質問をされて。 数十秒頭をひねった末に、「たぶん結局村上龍」と答えるしかなかった。間違ってないよな……。間違…

ビル・トッテン『「アメリカ型」社会は日本人を不幸にする 〜「実力主義」は日本に合わない』

ISBN:4479790381 9・11以来、そのブームは加熱する一方のアメリカ叩きだが、読書という形でちゃんとそれに触れたのは初めて。まったく流行に鈍くて。 で、ちゃんと9・11以前('98年)に刊行されていた本。が、彼が教えてくれることは、今にもおおむね当ては…

金児昭「『すぐやる人』になれば仕事はぜんぶうまくいく」

東京からの帰途、文庫本を切らしていたための購入。が、このパターンの買い物としては、二度目の失敗例。 時間をかければ必ずしもいい仕事ができるのかという、今の僕の疑念にひとつの答えを出してくれたことはありがたく思うが、後半はもはやご自分の成功例…

矢矧(やはぎ)晴一郎「メモが上手になる技術」

話についていきながら議事録を取るのに四苦八苦するがゆえ、少しでも効率よくメモが取れないものかを模索中にWebで存在を知って購入。 速記術など習わずとも、ちょっとした工夫で効率のよいメモ取りが……のくだりに期待させられたが、はっとさせられるという…

神川武利「伊達宗城」

なんて読んでます。PHP。当然のごとくこんな名は知らなかったので買ってみた。 表紙から奥付までに、くどく「むねなり」と振られている。幕末の宇和島藩主。戦国野郎で幕末は専門外という方でも、これなら伊達秀宗の系譜とわかるでしょう。全然直系の子孫じ…

小川洋子「ドミトリイ」

カタカナ表記だとショスタコーヴィチのファーストネームとかぶるという事実がある。純文のことだし、てっきりそのネタで来ると思ったんだが。純文じゃないか。 つうかこっちの方がおもろい。「妊娠カレンダー」に比べて、数段「物語している」ことも手伝って…

小川洋子「妊娠カレンダー」

ブームに乗っかり、読む。芥川賞受賞女流作品違いではあるけど。 結婚を済ませ、出産してもらうことも済ませた身から、割と自分勝手に共感できてしまう心地よさ。生命は確かに、グロテスクだ。 ラスト一文が目を見張る。ええ? マジでこのエンディングですか…